「う、うん……。それは、そうね。たしかに、ほとんど一日中つけてるもの」

その指サックが、まさかこんなイケメンになって目の前に現れるとは思ってもみなかったけど。

「だから、オレが一番梓の温もりを知ってるし、頑張ってる姿も身近で見てる。だから、時々でも支えになりたい、そう思ってるよ」

そう言って彼は、私の手を引き立ち上がらせた。

「どうかしたの?」

ドキドキと緊張する気持ちは、まるで恋してるときと同じで、相手は指サックだと言い聞かせてみても止まらない。

すると、彼は微笑んで私を抱きしめた。

「大好きな梓を抱きしめたくて人間になったんだ。どうせ彼氏はいないだろ? しばらくは、オレだけの梓でいて」

「い、意味分かんないよ。支えたいって、思ってくれる気持ちは嬉しいけど……」

戸惑う気持ちを隠せなくて、彼の体を押し返す。

だけど、彼はもう一度私を引き寄せて抱きしめた。

「意味、分かれって。梓がどう思ってたとしても、オレが好きだって気持ちは変わらないから」