「そ、そんなの呼ぶわけないじゃない……。それより、あなた本当に指サック?」

なんてバカらしいことを聞いてるんだろうと思うけど、未だに半信半疑だから仕方ない。

すると、彼はニッとした顔のまま私の肩を抱いてきた。

「指サックだって。さっき、梓もデスクの上を見たじゃないか。なかったろ? いつも使ってるやつ」

「そ、それはそうだけど……。だとしても、なんで突然こんなことになってるわけ?」

彼が本当の人間じゃない……と思ってみても、近づかれると緊張する。

この指サックの王子様は、見ればみるほどイケメンだから。

「それは、梓があんまりにも仕事を頑張りすぎてるから。ハッキリ言って、かなり心配」

そう言いながら、彼はずいずいと顔を近づけてくる。

「ちょ、ちょっと待ってよ。近づき過ぎだって。何するつもり?」

至近距離に顔がきて、ドキドキしてきた。

「梓にエネルギーを注入」

そして、指サックの王子様は私にキスをした。