「なあ、梓。姫の願いを叶えるのは、王子の義務だと思うんだ。家に帰ったら、なにしてほしい?」

「な、なにって、別になにも……」

そんな具体的なことは、ひとつも考えていない。

含みのある言い方をされて、すっかり動揺する私に、彼は楽しそうに顔を近づけた。

「キスは当然するけど……、添い寝もしようか? オレと一緒なら、よく眠れると思うよ」

「ええっ⁉︎」

さらに動揺をして後ずさりする私の手を、彼は引っ張り抱きよせるとキスをした。

「梓のなにもかもが可愛い。早く家に帰ろう」

「うん……」

この温もりも、キスの感触も優しさも、きっと当分手放せそうもない。

そして、ドキドキも……。

指サックの王子様に、私はすっかり夢中になっていた。


END

擬人化……指サック