それを感じたら、彼とはオフィスだけでしか会えないのかと、寂しさがこみ上げる。

「ねえ、もし私が指サックを家に持って帰ったら、そこでも会えるの?」

かなり大胆なことを言っている気がするけど、やっぱりもう少し一緒にいたい気がする。

すると彼は、今までで一番の笑顔を見せた。

「もちろん、会えるよ。梓の家に持って帰ってくれる?」

「う、うん……。持って帰るわ」

「途中で落とすなよ?」

「落とさないわよ!」

茶目っ気たっぷりな彼に、私は振り回され気味。

なんとなくこれから、そんな風にこの指サックの王子様と関係が続いていきそう……そんな気がした。

「じゃあ、今夜はもう仕事を終わらせよう。長くやればいいってものじゃない」

「そうね」

早く帰りたい気満々の彼に、私は苦笑いをした。