「おい、毒華」




硬いベッドで浅い眠りについていたあたしはその一言ですぐに目を覚ました。




毒華、そう呼ばれてどのくらいの年月が経っただろう。




遥か昔から呼ばれていたような気もするし、つい最近呼ばれ始めた気もする。




そんなどうでも良いことを考えていると、




「おい、起きろ」




もう一度言われ、体を強く揺すられた。




「…起きてる」




強く掴んでくる手を振り払い、ゆっくりと起き上がる。




「あたしに触るな、気持ち悪い」




「はっ!散々男に犯されてきたくせに何言ってやがる。こんな女を抱くボスの気が知れねぇぜ」




あたしを軽蔑した目で見る男を睨む。




「黙れ。殺すぞ」




あたしだって好きでこんな生活してるんじゃない。




けどこいつ一人くらいなら簡単に殺せる。