告死天使

黒い瞳は、遠くを見ている。
地平線まで見透かすように。
天使の眼には、俺には見えないものも見えているのだろうか。

「…でも、時に掟を破ることもあるわ。
 「虫の知らせ」って言うでしょ?」

はっとした。
思い当たることがあった。
…そう、あの日に…。

天使は、俺に並び、ビルの底の街を見下ろした。

「――あの病院に、あなたの大切な人がいたのね。」

…黙ったまま、俺はうなずいた。