「あと、多分50枚くらいだけど……」
その言葉を聞くなり、宮間くんはスクールバックを自分の机に置いたまま、私の前の席に向かう。
そして何事もなかったかのように、イスを私の机の方に向け直してそこにストンと腰をおろした。
……って、いやいやいや。
意味分からないんだけど、全く。
「宮間、くん……?」
前を見ると、少しだけ高い位置にある宮間くんの顔。
その顔からは何の感情も感じとれなくて、宮間くんの考えてることが分からなくて私はただただ困惑する。
思ったよりも宮間くんとの顔の距離が近くて、ドキッと胸の奥のほうが鳴った。
「……手伝うよ」
宮間くんはそう言って、残っている積み重なった紙の束に手をかけた。
ああ、そういうことか。
……ん、でも、ちょっと待って。
「い、いいよ!宮間くん、さっき帰ろうと思ってたって言ってたじゃん。ひとりでできるよ」
「大丈夫だって、俺もやる」
「いや、でもこれは体育委員の仕事だし……。課題もやらなきゃいけないだろうし」
申し訳なく思ってやんわりと断るけど、宮間くんはなかなか首を縦に振ってくれない。



