翔平は鋭い瞳で先輩を睨みつけ、
『これ以上、愛莉に近付いたら。いくら先輩でも、手加減しませんよ?』
って、口元だけ緩めながら言う。
腕を掴まれてねじられている先輩は、悔しそうに下唇を噛みしめて眉間にしわを寄せた。
周りにいたふたりの先輩も、翔平の強さに驚いたのか、動揺しているのが見てとれた。
『……お前、その女のなんなんだよ』
先輩が翔平を見上げながら、ぶっきらぼうに言い放つ。
その問いかけに、翔平はふっと笑みをこぼした。
『こいつは、ちいせぇ頃からの俺の大事なダチです。だから愛莉を少しでも傷つけたら、俺が絶対に許しませんから』
『翔平……』
嬉しかった。
素直に、翔平の言葉が嬉しいと思った。
だけどね、翔平がくれた言葉に泣いてしまいそうな自分もいるんだ。
その理由はね、きっと。
私が翔平に恋をしているからなんだよ──。



