電車を降りて改札口へ向かうと、今日は柚月の姿が一番に目についた。
……あは、柚月ってば、人目を気にせず私に向かって手を振ってるし。
周りの人たちが見てるじゃん。
「愛ちゃんっ!おはよ!」
改札口を通り抜けると同時に、とことこと駆け寄ってくる愛ちゃんはまるで小さな子犬みたい。
「おはよう、柚月。今日は寝坊しなかったんだね?」
私がイタズラに笑ってみせると、柚月は分かりやすくムッと唇を尖らせた。
「愛ちゃんイジワルだ。私、そんなにいつもいつも寝坊してないよ!」
「いや、柚月結構寝坊してるよ?頻繁に」
「……バカ愛ちゃん」
そう言って膨れる柚月。
“バカ”としか言い返してこないのは多分、自分でもよく寝坊しちゃうって分かってるから。
……柚月はひとつひとつの言動や行動がいちいち可愛いんだから。
「ごめんごめん」
笑いながら柚月に謝ると、柚月は両方の耳の下で結ばれているふたつくくりの髪の毛をくるりと揺らしながら、柚月の特徴である大きな丸い目を細めて笑った。



