「柚月、あのさ……」
私がそう発したところで、タイミング悪く、授業開始のチャイムが鳴った。
“私ね、今でもたまに翔平のことを想って泣いちゃうときがあるの”
……言おうと思っていたことは、柚月に言えないまま。
「あ、鳴っちゃった。話はまた今度でいいや」
「ごめんね、愛ちゃん。私、席に戻るね。授業もこの3限目にある委員会決めで終わりだからさ、頑張ろう」
笑顔で手を振って席に帰っていく柚月を見届けていたら、私の後ろの席に戻ってきた宮間くんと目が合って。
どうすればいいのか迷ったけど、私は宮間くんと目を合わせたまま、にこっと微笑んだ。
宮間くんも軽くだけど微笑んでくれて、初めて見た笑顔にちょっとびっくりした。
……宮間くんって、笑うんだ。
ずっと無表情だったから、笑わないと思ってた。
見かけは少し冷たくて怖く見えるけど、それは人と話すのが苦手だからかもしれない。
自然と表情が強ばってるのかもしれないな。
なんて思って宮間くんを見つめていると、
「……見すぎ」
って宮間くんが視線をふっと逸らした。



