私はパッと顔を上げて、声の主を瞳にとらえる。
どうか、私が思っている通りの人であってほしいと願いながら。
『……翔平』
やっぱり、私の聞き間違えじゃなかったんだ。
3人の先輩の前に立ちはだかるかのようにして、翔平は私の前に立っていた。
そして私の方を見て、にかっと歯を見せて笑う。
『安心しろ、愛莉』
翔平のその言葉を聞いただけで、胸の奥に今さっきまで感じていた不安がスーっと嘘みたいに消えていく。
不思議な感覚だった。
私を取り囲んでいた先輩たちが、グッと目をつりあげてすごい形相で翔平を睨む。
『お前、なんなんだよ?あ?』
『先輩こそ、なんなんですか?愛莉がすっげぇ怖がってたの、気付かなかったわけじゃないですよね?』
『は?お前まじでなんなの?』
3人のうちのひとりの先輩が、翔平の胸ぐらをガッと勢いよく掴んだ。



