なんだかすごく恥ずかしくなった私は、中学校指定の新品のスクールバックをぎゅっと握りしめ、俯きながら歩き出す。
……だけど。
『ねぇ、きみ。さっき、見えてたよ?』
『おいっ、こいつ、顔めちゃくちゃかわいくね?新入生だよな?』
『ピンクのチェック。……だははっ、そんなに顔真っ赤にしちゃって。か~わいいなあ』
さっきの人たちが道路を渡ってこっちにきちゃったみたいで、あっという間に3人に囲まれた。
遠くからだと気付かなかったけど、近くで見ると結構制服が汚れてて、バックだって傷が入ってる。
きっと、先輩だ……。
私はグッと唇を噛みしめた。
ついこの間まで小学生だった私にとって、年上の人ほど怖いものはない。
やだよ……こわいよ……。
もう、ダメだ。泣いちゃう……。
そう思ったとき、
『先輩、なにしてるんですか?』
聞きなれた声が、私の耳に届いた。



