午後4時前、おばあちゃんのお見送りをしてから、私はすぐに2階の自分の部屋へと向かった。
『愛莉ー。お母さん、ちょっと夕飯の買い出しに行ってくるわね?』
その言葉に適当に返事をしてから、ボフッとベッドにうつぶせで身を沈める。
すぐに思い浮かんだのは、今日おばあちゃんが私に言った言葉の数々。
“愛莉もいつか、この人やって思う人を見つけんといかんよ”
“そしてその人に出会ったんやったら、絶対にその人の手を離したらいけん”
この言葉は、今の私にとってはとてもつらく苦しいものだった。
まるで、現実を真っ正面から突きつけられているような。
……ねぇ、おばあちゃん。
私ね、いたんだよ。
本気で好きだと思ってた人。
心の底から、大好きな人。
まだまだ子供かもしれないけどさ、こんな私にもいたんだよ。
小さい頃から一緒にいたから、ずっとずっと誰よりも想ってたから。
誰かにとられるなんて、思ってもいなかった。



