この通りにいるのは、今のところ私たちだけ。
さらさらと流れる風が、胸元まである髪の毛をゆらりと揺らす。
私は、今にも泣いてしまいそうだった。
だって……
『りんと、付き合うことになったの……?』
わずかに声を震わせながら翔平に問いかけると、翔平は照れくさそうに鼻をかいてくしゃっと笑った。
胸全体が、針で何度もつつかれたように痛い。
いや、えぐられる、の方が正しいかもしれない。
『へ、へぇ……。そうなんだ……』
『あれ?喜んでくれねぇの?愛莉ならもっと喜んでくれると思ったのに』
『え?』
『愛莉、新田さんと仲良いじゃん?普通さ、こういうときは女って喜ぶもんじゃねぇの?』
翔平に突きつけられた言葉に、笑い返す余裕もなかった。
だって私の中にあるのは、喜びの感情なんかじゃない。



