目を閉じてそう自分に言い聞かせて、私は翔平とりんに目を向ける。
『そろそろ、私たち帰るね?私、早く帰ってお母さんに“帰ったよ”ってメールしないと』
『お、そうだな。愛莉は早く帰らないといけねぇんだった。じゃあな、新田さん。また明日!』
私のお母さんは夜遅くまで毎日仕事をしてる。
それにその事務仕事がない日は、スーパーにアルバイトにも行ってるし。
だからお母さんを少しでも安心させてあげられるように、家に帰ったら必ずメールを送るようにしてるんだよね。
翔平は私の家のそんな事情をしってるから、すぐに帰ろうって言ってくれた。
『愛莉ちゃん、翔平くん。また明日ね』
髪の毛をふわっと風に揺らして微笑んだりんに手をふった私たちは、いつものようにふたり並んで、教室のドアへと一歩踏み出した。



