心臓のドキドキは結局収まることのないまま、私たちは駅から歩いて数分の“陽の花公園”にやってきた。
この公園は、駅のすぐ横にある土手の階段を少し上がったところにある公園。
階段の上からはたくさんの緑がさらさらと風にのせて揺らいでいて、緑色の葉っぱと色とりどりの色をした果物を実らせた果樹園の木々とがマッチングしていて、そのコントラストが絶妙でとてもきれいなんだ。
まるで架空の世界にいるみたい。
こっちに引っ越してきてから散歩がてら歩いていたときにたまたまこの階段を見つけて登ってみたらここに出て、そしたら景色がものすごくきれいで。
穴場みたいだから人も全然くる気配がなくて、気付いたら私のお気に入りのスポットになっていた。
しばらく蒼汰もこの景色に見惚れていたみたいだけど、
「ベンチ、座ろうか」
そう言ってベンチに腰かけた蒼汰に続けて、私もそっと腰をおろす。
それから何も言うことなくただジッと風の音に耳を傾けていたけど、蒼汰の視線をふと感じて、“話さなきゃ”って思った。
「……あのね、蒼汰」
そっと話し始めた私の方に顔を向けて、話を真っ向から聞いてくれる蒼汰の目はとても真剣で。



