「なぁ。お願いだから無茶すんなよ、愛莉。俺、こんなんだけど、結構愛莉のこと心配してるんだからな……」
……なに、蒼汰ってば。
いつも恥ずかしがってすぐ顔を真っ赤にして私から目をそらすのに、今日はそんなに真剣な顔をして。
私から全然視線をそらさない。
今日はいっつもより何倍も、蒼汰の眼差しが熱くてかっこいい気がする。
「……蒼汰、公園、行こっか」
恥ずかしくて、その恥ずかしさに耐えられなくて、話題をそらした私。
いつもは蒼汰が話題をそらすのに、今日はなんか変だ。
立場がいつもと正反対だよ。
「……そうだな。愛莉、その公園どこ?行こう」
「……っ」
急に、左手にあったかいなにかが触れる。
そしてそのなにかが私の指と絡まった。
……本当は“なにか”なんて聞かなくたってわかってる。
蒼汰が、あの恥ずかしがりな蒼汰が、今日はいつもと違うから。
変に調子が狂って、尋常じゃないくらい心臓がドキドキいってるよ……。
だけどそんなこと蒼汰に言うのも恥ずかしくて、私は歩き出した蒼汰に黙ってちょこちょことついていくしかできなかった。



