帰りは翔平が私のクラスまできて、いつもそのまま一緒に帰るんだ。
翔平に小さく手を振ってから、私は教室の中へと入った。
自分の席へ真っ先に向かい、スクールバックから教科書やノート、筆記用具の入ったペンケースをささっと取り出す。
全部を整理し終わったあとは、スクールバックを教室の後ろにあるロッカーにしまった。
……よし。
隣のクラスにいる、小学校のときから仲のよかった友達のところへでも行ってみようかな。
ひとりじゃ暇だし、翔平のクラスまで行くのは遠いし。
そう思って、よいしょとその場に立ち上がったとき。
『あの……』
私の耳に、控えめで、甘く可愛らしい声が届いた。



