なんて思う心のなかとは裏腹に、現実の私はにこっと愛想笑いを浮かべる。 そして蒼汰に言った。 「ありがとう」 って。 “私も蒼汰のこと大好き”とは今は言えなかった。 本当に自分勝手だなあ。 また私の嫌いな自分が姿を現す。 りんのこと、大嫌いだ。 蒼汰のことは嫌いじゃないけど、りんのことを大切だと言う蒼汰のことは好きじゃない。 ……みんなみんな大嫌いだけど、でも。 自分の思ってることを言えなくて、心の中だけで消化しちゃう、なんでもひとりで解決しようとする、そんな自分が一番嫌いなんだ──。