人がたくさんいることも気にせず、というか、人がたくさんいるのも忘れて。
「……蒼汰っ、大好き」
蒼汰にぎゅっと抱きついた。
「あ、愛莉。ここ、みんないるからさ」
思った通り、蒼汰はもごもごと慌ててるけど、そんなのもう気にならないもんね。
今はただただ、愛しい。
自分の思ったことを恥ずかしがりながらでもちゃんと言ってくれるこの人が、私のことを考えて行動してくれるこの人が、大切で愛しいんだ。
「……ありがとう」
蒼汰の胸の中で呟くと、蒼汰の耳にも私の声が届いたんだろう。
私に抵抗するためにあわあわ動いていた体の力が急に抜けたかと思ったら、
「愛莉が喜んでくれて、よかった」
って蒼汰の声が耳元で聞こえた。
それからすぐにして、小さな男の子が
“あのお兄ちゃんたち、なにしてるの?”
って言ってる声が耳に入って、すぐに密着していた体を離した私たち。
そんな蒼汰と私はお互い真っ赤な顔をしていて、それが面白くて、ふたりで笑いあったんだ。



