私はあわてて口元を抑える。
蒼汰は表情をもとに戻すと、手に持っているピンクのイルカのぬいぐるみともうひとつ、青のラインが入ったイルカのぬいぐるみを手にした。
「ほら、行くぞ」
そう言ってスタスタとレジに向かって歩きだす蒼汰の後を急いで追う。
きっと蒼汰は、私の分まで払ってくれるつもりだ。
……でも、初めてのデートなのにそんなことまでしてもらうわけにはいかないよね。
「蒼汰、私の分だけでも払うから」
私が袖をクイクイと引っ張るけど、蒼汰はまるで聞く耳を持たない。
「大丈夫だから。俺がこうしたいだけだから」
蒼汰はそう言い切って、とうとう会計を済ませてしまった。
申し訳ないな……。
そう思ってシュンとしてると、私と向かい合うように目の前に蒼汰が立った。
「……はい、これ」
渡されたのは、ふたつある小さな紙袋のうちのひとつ。



