それからの私たちは、水槽で覆われたトンネルのような場所をくぐってみたり、クラゲのいる丸い水槽を覗いてみたり。
30分ほどあったイルカショーも、蒼汰と動画を撮ったり、ふれあいコーナーでイルカに触ってみたりして、すごく楽しかった。
お昼にはふたりでランチをして、魚の形をしたチャーハンがでてきてびっくりしたんだよね。
私があまりにもあれこれと蒼汰の手を引いて走り回るから、蒼汰はとっても大変そうだった。
「あ、蒼汰っ!あっちにショップがあるよ!ちょっと行ってみようよ」
「ちょ、愛莉。引っ張んなって」
「ほら!いろんなものがある!何か欲しいなぁ」
帰り間際、水族館内にある小さなショップの中で、欲しいものを探し始めた私。
蒼汰はあきれながらも、優しく笑って付き合ってくれた。
「これなんか、可愛くない?」
私は奥にあったイルカのぬいぐるみを手に持って、蒼汰に見せた。
白い地にピンクのラインが入った、てのひらより少し大きいサイズのやつ。
蒼汰は私の手からそれをスルリととると、
「これが欲しいの?」
って無表情で私を見る。



