『っ、ちょっ……なに?なんで笑うの?』
『いや、だってさ、愛莉がそう言って素直にお礼言ってくんの、珍しいから。明日、雨降るんじゃねぇの』
何を言い出すのかと思ったら……。
翔平のバカ。
『悪かったですね~!いつもいつも素直じゃなくて。でも私だってちゃんとお礼くらい言えるもんね!』
子どものようにむきになって言い返す私に、翔平はまた笑う。
『ははっ、わかったって。でもさ、愛莉はちっせぇ頃からじゃん。自分に素直になれなくて、言いたいこと我慢して。これ、愛莉の特長じゃん?』
『……』
『あ、ごめんごめん。そんなに睨むなって!俺が悪かったよ』
私がずっと翔平を睨んでいると、それに気付いた翔平があわてて私に『ごめん』と頭を下げた。
真剣な顔じゃなくて、半分笑いそうな顔でだけど。



