亜依里が亡くなって1ヶ月


あっという間だった





ポケットでスマホが鳴る

知らない番号だ…




知らない番号とか、公衆電話は
亜依里からの着信



いないとわかってても
亜依里からの着信を拒否したくない


「もしもし」

「お兄ちゃん… 迎えに来てぇ…」



訳が分からなくて、切った

亜依里とは違う声

なのに、お兄ちゃん…

間違い電話かよ


でも…



あの日迎えに行き損ねたことを

思い出し

公園に向かった

何してんだ?って

疑問を振り払い

滑り台の下を覗く


!!!!!


色白で金髪の女の子が、俺に抱きつく


「遅いよぉ!!お兄ちゃん!!」


あ……いり……!?


「どうしたの?お兄ちゃん?」

「ふざけてる?」

「ふざけてないよ?お兄ちゃん帰ろう!!」



どう見ても、亜依里じゃない

なのに、間違いなく亜依里だ

帰ってきた?




その子と手をつなぎ家に帰ると

「あら?伊緒里の彼女?」

「何言ってるのお母さん」

「わぁーーちょっと、部屋に行ってろ!
母さんと話があるから!な!?」

しぶしぶと亜依里の部屋へ

それを見て、確信した

「母さん 話が…」

「亜依里なの?」

母親って…凄い

説明する前に、勘づいたらしい

「間違いなく亜依里だと思う」

「生きているのね…」



夕食は、亜依里の好物ばかり


「うふふっ 誕生日みたいだね!
私の好きなのばっかり!!」

「お母さんのご飯が1番だね!!」

「お兄ちゃん、何?」

「え?ああ、アイスもあるぞ?」

「本当!?やったぁ!!嬉しい!!」


亜依里だ…

亜依里なんだ…



「落ち着いて食べなさい!」

「はぁーい」



食後




アイスを食べながら、母さんに向かって

「お母さん
この前、ごめんね
びっくりしちゃって…
私…反対って訳じゃないから
今度、お兄ちゃんと4人で食事しよ?」


は? なんの話?

母さんの方に視線をやると泣いてる

「お兄ちゃん!お母さんね、彼氏が出来たの
春だねぇ~」

「亜依里」

「なぁに?」

「亜依里なのね」

「そうだよ?」





亜依里が帰って来た