「聞いてくれ!!
昨日、妹にばったり会ってさ!!
帰ろうって言ったんだ」

「おぉ!! それで?」

「バカかって… 」

「よしよし!!よく頑張った!!
お前の1歩は、大きいぞ!!」


朔哉の妹が、なんでグレたのか



いつか、朔哉から言えば聞き役になる
いくら仲良くなっても、踏み込むと
傷つけそうで



俺からは、聞かなかった




「花菜がいなくなってからさ…
俺んち、めちゃくちゃ暗ぇの…」

「花菜ちゃんっていうんだ
可愛い名前だな!」

「ん?名前だけだな…おっかねぇぞ?
花菜に睨まれたら、ビビる
マジで恐ぇぞ!」


朔哉は、男にしては中性的で、綺麗な顔


「お前の妹なら、綺麗なはずだ
会ってみたいなぁ~花菜ちゃんに!」




今日も妹談義









亜依里が好きなアイスを買って帰る



「おかえり…亜依里を迎えに行って…」

「喧嘩したの?」

「うん、伊緒里…ごめんね」

「いいよ」


アイスを冷凍庫に入れて

公園を目指した



大通りの交差点で事故があったらしく

人がごった返していた



遠回りするかな…



「伊緒里くん!!亜依里ちゃんが…」

買い物帰りの隣のおばさんが

教えてくれた


「トラックにひかれたみたい…
お母さんには、私が知らせるから
救急車に乗りなさい!!」


おばさんに言われたように

人をかき分け、進むと頭から血を流す

亜依里が救急車に乗せられるところだった


「すみません!!俺の妹です!!」

「乗って!!」



病院で、処置を受けていると

母が来た


号泣して、喧嘩したことを悔やむ


「大丈夫だよ」


本当は、俺も泣きたかった


不安で仕方なかった












脳死






医師から、臓器提供意思表示カードを
亜依里が持っていると渡された

カードと一緒に

〝 お母さん、お兄ちゃんへ

もしも、私の身に何かあったとき
私の体を誰かの役に立てて下さい

私を誰かの中で、生かして下さい

今まで、育ててくれてありがとう

大好きだよ     亜依里 〟



母と話し合い



亜依里の希望通り

臓器提供をすることにした