1、告白


高1の冬。

私、七瀬 澪はある事をする為に1人放課後の教室にいた。

ある事とは、高校に入ってからずっと好きだった佐山君に、想いを伝えること。

教室には私以外誰もいないし、

佐山くんには話があるから部活終わったら教室に来てとあらかじめ言っておいた。

準備は完璧っっ!!

「佐山君の彼女かぁ…。」

ボソッと独り言を言ってしまい、

慌てて周りをキョロキョロと見る。

思わず口に出しちゃった…。

ばか、私!

ダメ元で告白するっていうのに何考えてんだ!

…まだ告白もしてないのに、もう付き合った時の事を考えてる。

佐山君と一緒に登下校したり、デートしたり
…想像しただけでも幸せ!!

その時ガラッと教室の開く音がした。

や、やばい、佐山君が来た…!!!

さっきまで緊張していなかったのに
いざとなったら頭が真っ白になって、
私は席に座ったまま、俯くことしかできなかった。

…恥ずかしすぎて、顔見れないんだけど。

佐山君は何も言わず、教室はシーン・・・と静かだ。

やばい、・・・言うタイミングが分からない!!

頭はもうグチャグチャでパニックだ。

心臓なんか、破裂するんじゃないかと思うくらい速い。

「…あのね、私高校に入った時からずっと好きだったのっ!」

…言えた。

その後しばらく続く、沈黙。

…え、佐山君返事言ってくれないのかな?

勇気を出して顔を上げ、佐山君の方を見――


……………え?

そこには私が呼んだはずの佐山君ではなく、

同じクラスの長谷部 颯真がいた。

もしかして、私告白する人間違えた!?

急いで今の告白なかったことにしなきゃ…!

「ごめんなさ…「いいよ、付き合お。」

私とかぶるように言ってきた長谷部くん。

あれ、今何て言った!?

「…え?」

「だから、付き合ってもいいよって言ってんだけど。」

私は驚きのあまり、突っ立っていることしかできなかった。

「俺さ、七瀬のこと好きじゃないけど女子が毎日周りできゃーきゃーしてて迷惑してたんだよね。」

「……。」

まあ、長谷部くんっていったら勉強、スポーツと完璧なイケメンだからなー。

女子がほっとくわけないよ。

…って、今私の事好きじゃないってサラッと言った!?

「だからさ、ちょうど良かったわ。七瀬が告ってきて。」

…ようするに、私で他の女子達を寄せ付けないようにするってこと!?

…うわ、最低だ。こいつ。

断ろうと口を開こうとした瞬間、

右腕でガッチリと身体を掴まれて

いきなりキスしてきた。

必死につき飛ばそうとしても長谷部はびくともしなかった。