僕の前を歩く彼女。




なんかプンスカしてる。



ちぇっ。
今日は二ヶ月ぶりに休みを合わせて
ずっと楽しみにしてたデートなのに。




人混みで賑わう街中を、
彼女は縫うように器用に歩く。
えっ、ちょっと待ってよ、早っ!



僕は付いて行くのに必死だ。




ようやく彼女が立ち止まった。
一軒のペットショップの前で。



ショーウィンドウの向こう側に
尻尾を振って大きな瞳がウルウルしてる
可愛い犬や猫がたくさんいて。



「可愛い…」




ポツリと呟いた僕に、




「……むぅ」





彼女は顔をしかめた。





え?
なんか僕、間違えた?