駅に着くとちらほらと数人学生がいるだけでそんなに人は居なかった。 あたしは早速電車に乗り、車内を見回す。 だけど、探している人物は居なくてそれに似た人もいない。 ちょっと残念に思いながら空いてる席に座る。 まっすぐに視線を向けるとまるで外が動いているみたいにあっという間に過ぎていく。 そんな景色を見ながら朝の出来事を思い出していた。 手に残る彼の温もり。 …あたしの手なんか包み込んでしまうような大きくて優しい手だった。 顔は…よく思い出せないけどきっと格好良かったに違いない。