僕には気になっている女性がいる。
僕は本が大好きで
週3回くらいで通っている古本屋がある。
彼女はそこで働いているのだ。
彼女と出逢ったのはかれこれ一ヶ月前ぐらい
普段は六十過ぎの店長とその息子しかいない三温堂(僕が通っている古本屋の名前だ)に、一輪の花が咲いた。
一目惚れだった。
肌なんか透き通っていて絹豆腐のよう。
唇はぞっとするほど美しく、鮮血色。
なにより髪は艶やかで吸い込まれるほどの黒だった。
ただ…
彼女は笑わない
いつも何かに期待などしていないような
見切りをつけきっているような
そんな無の表情でレジに座っているのだ。
もっと
もっと
笑えばいいのに。