「・・・別に何だっていいじゃん」

「じゃあ、ちゃんと”空”って呼んでよ。」


私は自分の名前も、彼の名前も嫌いだ。
”海”と”空”はどこか近いようで、遠いから。

どちらも碧く、果てしない。ここから見える水平線は、まるで海と空が混じり合っているかのように見えるのに。それは錯覚で、偽りで、本当は混じり合ってなどない。

それは、私たちを現わしているかのようで。
堪らなく悲しくなる。


「・・・・・空、私は」


___バタンッ


「蒼井ー」

そう呼ばれた方へ二人視線を向けた。
そこには担任の姿。


「なんだ、お前らこんなとこにいたのか!HRやるから教室戻れー!」

そう言って踵を返す担任は余計なことを残していく。


もう解りきっていること。けれど。だから。