僕の(わたしの)生きる世界1[完]

ー半年前ー


その日は、珍しくキーリ家の庭園で、メイド達とお茶を楽しんでいた。

花の間を飛び回る妖精達。

森の妖精達は、どこか落ち着いているが、この庭にいる妖精達はとても元気だった。

そんなときだった。

《迷子ニナッタ…ドラゴンノ子供ガ…危険》

そんな思念を妖精から受け取ったステラは、お茶会を切り上げて、慌てて転移する。

そんなステラにメイド達は、驚き噂しあった。

「ステラお嬢様は、一体どのくらいの魔力値なのかしらねぇ?お嬢様のお世話係のパティは知らないのかぃ?」

「旦那様が、学園に入るまで計らないと言う主義ですから…。」

「ステラお嬢様の属性は火ですかねぇ?」

「風も使っておられたかと。」


そんな会話がされているのも知らず、ステラは、洞窟の前にいた。

洞窟の前には、大きなドラゴンがうろついていた。

「あなたの赤ちゃんが、迷子になったのね?」

突然現れて、話しかけられたドラゴンは驚いた。

中位以上のドラゴンならば、人との会話も可能で、召喚によって契約する者もいるが、ここに暮らすドラゴンは、そうでは無いからだ。

ただただ、人から恐れられた存在であった。

ステラは、驚くドラゴンを放置して洞窟の中に進む。

洞窟の内部は、数メートル入っただけで真っ暗だ。

ステラは、指先に光の玉を出すと、洞窟に放った。

その光は、洞窟内部を煌々と輝かせた。

ステラは、鍾乳石を避けながら、妖精に導かれて奥へと進む。

その奥の一つの空間に中型犬程の、ドラゴンが居た。

「プギュィィィイ…。」

「おいで?怖くないわ?お母様の元に帰りましょう?」

《母ちゃん?》

「そう 着いてきて?」

ステラは先導しながら、ドラゴンとも思念での会話が出来ることに、驚いた。

そして、洞窟を抜けると直ぐに母親の姿を見つけ寄っていく。

《不思議な人の娘よ。ありがとう》

そう言って、ドラゴンは山奥へと姿を消した。

ステラも、家へと帰宅した。

洞窟の光は、そのまましばらく続いて、消えていったが、その光る洞窟を見た旅人がビックリし、その噂からギルドに調査の依頼が届いたのだが、誰かが光属性を使ったのだと言うことだけで、異常は何もなかった。