僕の(わたしの)生きる世界1[完]

ステラは、紅茶を入れるとジェイクに渡しながら、言う。

「ジェイクって、本当は凄くお話好きなのね?」

「あ…うん…。僕は、ほら…。総帝として動いてることが多くて、その間は話しちゃいけないし、同年代の友人も周りに居なくて…。どうしても人見知りしてしまうんだ…。」

「聞いて良い?なんで総帝に?」

ジェイクは、自分がオフワン領土出身で、村が魔物に襲われたところから、ポーロに出会い、総帝になるまでを話した。

ステラは、黙って聞いていた。

すべてを話終えると、ジェイクは言った。

「この話を僕が人に話したのは、初めてだよ。何か、ちょっと楽になった気がする。ありがとう。ステラは、この世界に転生してどう?」

「実は、わたしが転生者だって知ったのは、まだ最近なの。」

ステラは、お返しにとばかりに、佐々木 海斗の時の話や、キーリ家の裏庭の森の話や、ミハイルの不細工発言など、話した。

特に、佐々木 海斗であった、魔法も魔力も無い世界の話は、ジェイクにとって驚くことばかりだった。

車、飛行機、テレビ、洗濯機、掃除機、パソコンに携帯電話…。

当たり前にあった物が、この世界には無いのだ。

移動は転移魔方陣、テレビは無く、通信手段は、念話…。俗に言うテレパシーと言うものや、伝書だし、洗濯は手洗いだし、掃除機は、箒か魔法で行う人も…。


パソコンも無いから、事務処理に関しては、まるで昭和やそれ以前のようなアナログな作業。

ステラは、あの世界を思い出すと、懐かしくも感じた。