僕の(わたしの)生きる世界１［完］

ステラ達三人は、寮の広さに驚き、校内の地図を片手に、まるで迷路のように入り組んだ廊下を歩いていた。


そんな時に、ふと廊下の窓を見ると、窓の向こうの連絡通路にジェイクの姿が見えた。

ステラは、咄嗟に二人に言った。

「ごめんなさい！急用を思い出したの！夕飯は御一緒したいから、合流させて？」

そう言って、ステラは廊下を走り出した。

直ぐ様転移したいところだが、転移魔方陣がない場所での移動は、特殊部隊チームクラスでないと発動が出来ず、普通は出来ないと、ミハイルに言われた。

一般には、しっかり魔方陣を描き、呪文を唱えないとならないらしい。

ステラはジェイクを追う。

着いた先。そこは、温室だった。

「ジェイ…」

全てを呼ぶ前に、ステラに気付くジェイク。

「あぁ　ステラさん。」

ステラは、何故追ってきてしまったのか分からない。

だけど、ステラはどうしても妖精達がジェイクを気にかけているのが気になった。

「ジェ…。いいえ、あなたは総帝様ですよね？」

「え？な…ぜ？そう思うの？」

ステラの言葉に大きく目を開く。

気温が下がった気がした。

「あなたは、総帝様で間違いないのね。」

ジェイクは、指環を外すと一瞬でステラの傍に移動する。

その目には、恐怖と焦りが浮かんでいた。

「何故？お前は何者？」

ステラは、微笑んだ。

「わたしは、ステラ･キーリ。それは間違いございません。わたしは、誰にも言わない。」

「誰に聞いた？」

「総帝様？信じてくださいますか？」

「…。」

「わたしは、妖精達が見えるのです。」