僕の(わたしの)生きる世界1[完]

「必要ない。さっき君たちが互いに自己紹介していたのを聞いていたから。ステラ・キーリ 魔力値602 キーリ領主家のお嬢様。 モニカ・マッカーニー 魔力値 582 マッカーニー領主家の一族。君はルカ…。一般人のようだが魔力値687…。」

「ええ!!」

ヘンリーの言葉に、モニカ以外が固まる。

ジェイクの無表情が変化した事に、残念ながら誰も気づかなかった。

「ルカ…さん…ビックリ…。」

ヘンリーの目の前に座るルカは、恥ずかしそうに、縮こまっていた。

「そ、そうなのですわ!ルカは水属性で、私が小さなときに、森の池で溺れていたのを助けてくれて…。」

モニカが話すのが苦手なルカの代わりに話す。

「なるほど。ポッサム同様に身分制があると聞く、マッカーニーが一般人とつるんでるのは疑問だったが、その魔力値は納得した。」

そう言ってヘンリーは、続けた。

「そして、あなたはタケル・ガーナレス 次の王位継承候補。ただ、何故か幼少期に城を飛び出し、今は表舞台には出ていない。魔力値653」

これには、タケル以外の四人が固まった。

(おいおい…。総帝として、城には何度も行ったことあるけど、それは初耳だよ…。あの わがままな、お姫様しか居ないものと思ってた。)

ジェイクは総帝として、魔物との戦いにおいての作戦等で、城に行くことも多かった。

総帝として、城に一室を構えることも可能だったが、正体を隠さないとならない為に断った。

(妖精達が群がっていたのは、あながち総帝様だけのせいじゃないみたいだね…。)

ステラは、静かに深呼吸をした。

「よく分かったなぁ…。どうやって調べた? 俺、王子って呼ばれて、なんか特別扱いって言うか、腫れ物に触るような、御機嫌伺いしてくる、城の暮らしが嫌でさ。
で、母上にお願いして、今は普通に城の城下町で暮らしてる。だから、普通にタケルって呼んで欲しい!」

五人は頷く。

「ポッサム地方の多くは、切りだった山と、雪と氷とに覆われている。だからこそ、情報だけは取り入れようとしている。」

ステラは、情報が取引に使えるのは、情報社会で暮らしていた、佐々木 海斗だったからよく分かる。

「そして…。分からないのが、ジェイク。君です。君は一般人、だが魔力値は636 このクラスでは、4番目ですか。」


「…。それが?」

ジェイクは、一言で返す。

ジェイクは、内心イライラしていた。

ヘンリーの言葉の端々に。