僕の(わたしの)生きる世界1[完]

カルロは、歩きながらトーマスに話し出した。

「キーリでは、誰もが一般の民なのだよ。商売をする者、大地を育てる者、人々の役に立とうと動く者。もちろんそうでない者もいるが。」


街の外れまで来ると、一軒の大きな館があった。

昔には、赤い綺麗な屋根だったであろうが、今ではくすんでいる。

カルロは、館の中に入っていった。

そして、一つの扉の前に止まった。
この扉には、結界がかかっているようだ。

「この扉の向こうには、父の片腕だった人物がいる。」

カルロがそう言うと、結界に魔力を流す。

どうやら、魔力が結界の鍵の役目を持っているようだ。

二人が部屋に入ると、一人の老人がいた。