僕の(わたしの)生きる世界1[完]

店主が直ぐに、出てきてカルロを見ると、挨拶をした。

「カルロさん!どうしたんです?珍しい!あら?トーマス様ではないですか!?つい最近までポッサムから来ていた人が、家で働いてくれてたのだけど、本当働き者だし、すっごい助かってたのに、帰っちゃったでしょう?ちょっとバタバタしちゃって!」

トーマスは、ヘンリーが捨てられた奴隷を助けたと言う報告は聞いていた。

「そうであった。カルロ殿には、その節は申し訳なかった。ポッサムの奴隷をキーリの一般の者が使おうが、それは何も言いますまい。」


「あら、嫌だ。あたしこれでも一応貴族ですよ!カルロさんとは、一応親戚だよ~?それに、奴隷を使うって!?使ってなんかいないよ~?手伝って貰ったのさ!相応の手当てもきちんと渡したしね?」

店主がそう言って笑った。

「何故、貴族の奥方が、このような?」

「貴族の何が偉いんだよ?治安を守る、領主や騎士や国王ならともかく、むしろ本当に偉いのは、ギルドや特殊部隊チームとか、命かけて戦っている人達が一番凄いと、あたしは思うよ?キーリはね、皆が平等に働いて、暮らしてるんだよ。」

店主は、黄色い一本の花を、トーマスの胸のポケットに飾り付けた。

「トーマス様?この花の祖先は、切りだった岩山に咲いていたんだ。しかし、今では、他の花と一緒に咲くように変化したんだ。あなたに、その花をプレゼントするよ」

そして、カルロはトーマスと共に店を後にすると、街を通りすぎる。