モニカとヘンリーは、学園が休みでもやることが多かったのだが、この日は久しぶりに、父や騎士に任せて、休暇を取った。

「何処にいきますの?」

「モニカに、私の秘密の場所を教えましょう。」


そう言うと、転移の魔方陣を描く。

さぁ?と、モニカに手を差し出し、モニカがその手に手を乗せる。

ヘンリーは、その手を握りしめると転移した。

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「キャァア!真っ暗で、何も見えませんですわよ!?」

転移した先は、光が全く無い暗闇だった。

ヘンリーは、モニカを抱き寄せて。

指先から、光を放った。

光は、辺り一面に行き渡り、視界が開けると、モニカはその目に映った光景に、思わず息を飲んだ。

そこには、ヘンリーが放った光を反射させて輝く、巨大な氷柱の数々。

自分達がまるでちっぽけな存在に思える、そんな自然の雄大さを感じられる場所だった。

「ここは、ポッサムの北の地の山の下でね…。一度、この近くで雪崩が起きたんだ。その時に、調査に訪れて、たまたま見つけた場所なんです。」

「とても、素敵な場所ですわね?」

「私は、たまにここに来ては、自分の小ささを知るのです。貴族の自分は小さい存在なのだと。ここは、私にとってとても大事な場所です。あなたには、知って欲しかった。」

モニカは、ヘンリーの手を取り言った。

「嬉しいですわ?」

そして、しばらく景色を楽しんだ。

「さぁ そろそろ。次に行きましょう。ここは冷える。」

「次?」

モニカが尋ねる間もなく、ヘンリーは魔方陣を描き、モニカを連れて転移した。