「そうだな。ジェイク。戻っても、お前の魔力は戻らないぞ?普通の人々並の魔力までは、戻してやれないことはないがな?」

「そうですか。それだけで充分です。」

ジェイクは、技を使うときに覚悟はしていた。命を失わずに済んだだけ、良かったのか…。

「アルロス」

神がアルロスを呼んだ。

アルロスは、下位の天使である。
神に直々に呼ばれるなんて、滅多にない。

アルロスは、直ぐに現れた。

神は、もう一人名を呼んだ。

「デビル」

現れたのは、サタンに連れられて来たデビルだった。

神はサタンに言う。

「久しいな。サタン。わざわざ、すまない。」

「なに。よい。魔界にとっても、あの敵の存在は見過ごせない。」

ジェイクは、サタンの登場に驚くが、直ぐにアルロスとデビルが、飛び付いてきてそれ処では無くなった。

「主!大丈夫ですか?」
「あんたが、魔法をぶっぱなしたあと、飛ばされてよ?気づいたら魔界に戻っちまってたぜ?」

「二人とも、ごめんなさい。僕との契約も切れてしまったね。」

契約した者同士は、気を感じあえるのだが、今は全くと言うほど感じなかった。

技を使用した反動なのか…。

アルロスとデビルと、こうして会うのは最後だろう。

いや、こうやって会えたのはきっと、神のおかげ。

ジェイクは、神にお礼を言った。

「あぁ 後でミハイルとステラに文句を言われるのも、たまらないのでな。」

そして、充分二人と会話を交わした頃に神が言った。

「そろそろ戻れ。お前はもう、総帝の位置にはいられんが、まだまだやらなきゃいけないことがある。精一杯生きなさい。」

ジェイクは、アルロスとデビルにお別れを言う。

神は、ジェイクの意識を身体へと戻したのであった。