僕の(わたしの)生きる世界1[完]

その頃、マッカーニー家では、事件が起きていた。

長年、行方知れずだったピーターが戻ったのだった。

「今更、のこのこと帰ってきおって?領主になるだと?」

現マッカーニー領主、とその兄弟夫婦、モニカ、ピーター。全員がマッカーニー領主の家に集まっていた。

先程から、喚いているのはモニカの父だった。

次の領主は、兄である現領主が倒れた際には、受け継ぐつもりでいたのだ。

そして、その後はモニカに婿を取らせ、孫へ。

そう考えていた。

そんなピリピリした中に、一通の知らせが届いた。

宛名は、モニカの父にだった。

モニカの父は、封書の送り主の刻印を見て、驚いた。

「ポッサム家の刻印?何故、私宛?」

モニカは、いよいよこの時が来たと思った。

全員が、封書の中身に注目する。

モニカの父は、封を開けて読むと、ふるふると震え始め、モニカを見た。

モニカの母が、その書面を奪うと読み、キャアと悲鳴を上げる。

他の者は、何だ?と、怪訝な顔をした。

モニカの母が、口を開いた。

「モニカに、ポッサム家のヘンリー様から、婚姻の申込みが来たのよ!ヘンリー様が、明日来られるそうよ?」

その言葉に、領主が書面を確認する。

そして、正式な書類だと言うことを確認すると言った。

「モニカ!この申込み、受けるんだ!ヘンリー様は、次期領主になることが決まっている御方。さすれば、マッカーニーは安泰だ。」

モニカの父は、悩む。
確かに素晴らしいお話である。

しかしそれでは、結局ピーターに領主を引き継ぐことになってしまう。

でも、領主である実の兄の言葉は絶対だ。

何より、明日にもヘンリーが来てしまう。
何故、こんなに早急なんだろう?

ピーターの一件は、一度保留となった。

ヘンリーを迎える準備が、急ピッチで行われた。

皆が方々に散っていき、部屋に残った、モニカとピーター。


「モニカ?もしかして、俺の為になのか?」

ピーターは、モニカに聞く。

総帝やステラ、天使と友人なのだ。

ヘンリーとも、何らかの関わりがあるのでは?と思った。

自分やマッカーニーの為に、モニカが犠牲になるのは、ピーターとしては、不本意である。

ピーターにとって、モニカは従兄弟だけど、大事な妹のような者だから。

「私は、ピーターお兄さまが領主になって欲しいのですわ。」

そう言って、モニカは部屋を出ていった。

ピーターは、どうしたら良いのか困った。