僕の(わたしの)生きる世界1[完]

敵が現れてから三日間。

学園は、異例の休校になった。

帝達は、ポーロがいない間、本来のリーダーシップを取り、各領土の街や村に結界を施した。

タケルの判断で、国内は大きな混乱もなく、人々は落ち着いていた。

ルカは、タケルの傍で書類の整理をしていた。

ルカの授業中のノートは、とても綺麗に整理されているのを、同じ机で授業を聞いているタケルは知っていた。

「ルカ?二属性の混合には、コツがあるのか?」

タケルが、そう聞くとルカは手を動かしながら答える。

「イメージ…。魔力値を上げる訓練に似てるの」

ミハイルに教わってから、Aクラスの全員が、各自毎晩行っている、魔力値を上げる訓練。

魔気を、体内の属性に取り込む作業は、徐々にコツを掴んだ。
その訓練は、やっと最近、全員が確実に魔力値の上昇を確信した。

魔力の測定器は、誰でも使用できるように置いてあるため、クラスで計ってみると、通常よりも早いスピードで、魔力値が上がっていたのだ。

「魔気を属性に取り込むのと同じように、属性を属性に取り込むイメージ…。」

ルカが少し悩みながらも言った。

そうか!! 

属性と属性は別物と言う固定観念があって、物質化しながら混ぜようとしていたのだ。
それでは、水と油のように混ざる訳がない。


「あたしなら、水に火を取り込むか、火に水を取り込むか…。取り込む量を変えれば色々と出来る。後は、練習…。」

「ルカ!!ありがとうな?俺もやってみる!」

そう言って、タケルがルカの頭を撫でた。

「ところで学園で、何で俺に頼んだ?」

ルカは、戦いの最中にヘンリーでも、ステラでもなく、タケルを頼った。

「ステラとヘンリーには、結界を…。あの敵のランクは、高くなかった。」

「なるほど。一匹一匹ならば、生徒でも対応出来ていたあの敵に、魔力値の高いステラやヘンリーの攻撃までは必要がなかった。それなら、全体攻撃を仕掛ける為には、防御を強化する方が得策。そう言う事か?」

ルカが頷く。

「ルカ!凄いな~!」

「タケルが、皆を誘導してくれたから。」

タケルは、ルカの頭を撫で続けた。