僕の(わたしの)生きる世界1[完]

ー10日前ー

ヘンリーは、ポッサム家に居た。

キーリ領土にお世話になっている、あの人々の為にも、動かなくてはならない。

絶対的存在である、ポッサムの領主。

父の事が、ヘンリーも怖かった。

ヘンリーは、意を決して父の部屋をノックした。

中から返事があると、ヘンリーは部屋へと入った。

「おぉ ヘンリー。どうした?」

「父上にお話しがございます。」

「何だ?」

ヘンリーは、一息つくと切り出した。

「率直に申します。領主の座を譲っていただきたい。」

ヘンリーがそういうと、父が風の刃を飛ばした。

ヘンリーは、微動だにしなかった。

刃は、ヘンリーの顔スレスレを通過し、壁を傷つけた。

「見事だ。流石、我が息子だ。領主を継ぐのはお前だ。だが、それには条件がある。妻を持つのだ。ポッサムの領主が独身では、威厳が保てぬ。」

「父上。私はまだ15です。」

「ガーナレスでは、16から婚姻の義が出来ることを知っておろう?婚約者でも良いぞ? お前にそんな相手がおるのならばな! そうしたら、直ぐにでもお前に継ごう。」

ヘンリーは、家を後にすると悩んだ。

まさか、そんな条件とは…。

確かに、確実に代々継いでいくには、結婚は絶対だった。

ヘンリーの父も領主を継ぐ際に、一度も顔を合わさぬまま母と結婚したと聞いた。