僕の(わたしの)生きる世界1[完]

ステラが言った。

「わたしは、ステラ・キーリと申します。モニカさんとは、お友だちで良くしていただいてますよ?そして、今は総帝様のお手伝いをさせていただいています。」

「僕は、ジェイク。たまたま、パトロール中に、ステラが助けの声を聞いたので、ステラに連れられて来ました。」

そう言って、白いローブを羽織る。

「あら、パトロール中だろうが、無かろうが、助けを求められたら、助けるわよ?」

ミハイルが翼を出して、挨拶をした。

「私は、神に仕える者。ミハイルと申します。良いですか?先ほど教えた治癒を、あの親子にするのですよ?サボっても、私には直ぐに分かりますからね?」

驚き過ぎた女性二人は、何度も小刻みに頷く。

ピーターは、我に返ると言った。

「キーリ家の令嬢に、総帝様、天使様にお会いできるなんて…。」

そして、ピーターが何故ここにいるのかを語り出した。

マッカーニーの領主は三人兄弟だった。

長男の領主、次男の娘がモニカ、長女の息子がピーターだった。

領主の子供は、幼い頃に魔物に襲われ母子共に亡くしていた。

そうなると、次の領主候補が兄弟が先ずは優先され、その後にモニカ、ピーターと続くが基本、男性が継いでいくこの世界では、女性が外される為に、ピーターは二番目の候補となった。

そこで、お家騒動に巻き込まれたくないピーターは7年前、家を出てふらついている時に、ここを見つけたのだった。

身分の差に無関心だったピーターは、ここで暮らす人々の状況に驚き、直ぐに洞窟の補強を行った。

そうして、28歳になる今まで、魔物から人々を守りつつ、ここに暮らしていると言う。


「ピーターお兄さま?私は、ピーターお兄さまに、継いで欲しいと思っていますのよ?」

いつのまにか、ミハイルが連れてきたのだ。

「モニカ!?大きくなったなぁ!」

「ピーターお兄さま。マッカーニーは、変わらなくてはなりませんの!ここの人々がお兄さまに救われているように、他の民も救わなくてはなりませんのよ?私は、マッカーニーの身分制を廃止すべきと思っていますのよ?」

モニカの言葉に驚くピーター。

モニカが何故、あのマッカーニーに育ちながら、そのように考えられるのかが不思議に思った。

でも、モニカの言葉はピーターには嬉しかった。
つっかえていた物が取れた気がした。