僕の(わたしの)生きる世界1[完]

「神よ!お手を離して下さい!ステラに触れないでいただきたい!」

そこには、不機嫌なミハイルがいた。
片手には、ペンを握りしめていた。
教師としての作業をしていて、慌てて来たのだろう。

ミハイルは、転移して来て、神がステラに触れているのを見て、思わず叫んだ。

内心では。

(私ですらまだ、そんな風にステラに触れていないのに。)

と思ったが、ステラには分からない。

神にはお見通しで、その様子を見て、神は笑ってステラから離れた。

「それに、な、何ですか!?あの山は?」

「リサイクルよ?リサイクル。私は戻るわね~?」

神は戻っていった。

ステラの目には、恋人が他の女に触れているのを見て、怒っているかのように映った。

「ミハイル?わたしは大丈夫よ?神をどうこうなんて出来ないし。取ったりしないよ?」

「ステラは、何を言っているんです?」

「ミハイルは、神が好きなんでしょ?」

「それについては、私は神に仕える者なので…。」

嫌いな相手に仕える事はない。
ミハイルは、神を信頼している。
神とは何百年と共にいる。
ミハイルにとって、上司であり、親友であった。

「そうだよね!あんなに美人なんだもん!わたしでも触られて、ドキッとしちゃった!大丈夫 邪魔はしないよ?わたしは、そもそも人間だしね?」

そして、ステラは山の本を空いている本棚に整理していく。

わ~!とか、何度も声を上げながら。

ミハイルは、何故か心がざわめいた。