黙ったまま話を聞いてくれる蘭に、ポロポロと本音がこぼれて行く。
「武富君のことだって……諦めなきゃとは思うんだけど」
そんなに簡単にはいかなくて、だからこそここまで悩んでいるってわけ。
もう、どうすればいいかわかんないよ。
唇をキツく結んで拳を握った。
「諦める必要なんてないじゃん」
今まで黙って話を聞いてくれていた蘭が、静かに口を開いた。
「彼女が居たって好きなんでしょ?それほど咲彩の気持ちが本気だってことじゃん。簡単に諦められるわけないし、奪ってやる!くらいの気持ちでいなよ」
「う、奪うって……」
予想だにしない蘭の言葉に目を見開く。
そんなの、ムリに決まってるじゃん。
「奪いたいほど好きなんじゃないの?1年以上も片想いして来たじゃん。咲彩の気持ちは、あたしが1番良く知ってるつもりだよ。本気だってことも」
「そ、それはそうだけど。でも、そんな強気でいられないよ。実際、奪うなんて絶対にムリだし」
「ムリだとしても、咲彩には後悔して欲しくないから。でもまさか織田さんと付き合ってるとはね。予想外過ぎてビックリしちゃった。彼女持ちだったなんて、もっと早く教えて欲しかったよね」
自分のことのように肩を落とした蘭を見て、胸が苦しくなった。
「それにね、恋をしたらモヤモヤした気持ちが湧き上がってくるのはみんな一緒だよ?だから、自分が悪い子だなんて思わないで。当たり前の感情なんだって思うようにするといいよ」
当たり前の感情……。
そっか。



