早く俺を、好きになれ。



もっと……悪い子だったらよかったのに。


そしたら少しは自信がついたのに。


なんて。


モヤモヤドロドロした黒い感情が胸に広がる。


そんな最低な自分がホントに嫌だ。



武富君を勝手に好きになったのは私の方で、織田さんには何の非もないはずなのに、悪者に仕立てあげたくてたまらないなんて。


私の中にそんな感情があるなんて認めたくない。


武富くんの前ではいい子でいたいのに……。


織田さんという彼女の存在を知ってから、どんどん醜くなっていってるような気がする。


その点織田さんはすごくいい子で……きっと、こんな感情を抱いたこともないんだろうな。



武富君が好きになるのも当たり前だよね。


改めてそれを痛感させられた。


ムリだってわかりきってるのに、このまま好きでいるのはツラい。


ジワッと涙が滲んで、私は慌てて織田さんに背を向けた。



「じゃあ、織田さんまた教室でね〜!咲彩、ほら行くよ」


蘭に腕を引っ張られ、その場から離れることができた。


涙を引っ込めようと必死に瞬きを繰り返す。


「1時間目はサボって空き教室に行こっ!」


「空き、教室……?」


「優しい蘭ちゃんが話聞いてあげる」


……蘭。


ありがとう。


今はもう使われなくなった旧校舎の空き教室までは、歩くと結構な距離がある。


「ごめんね、蘭」



私の気持ちを察して、こうして話を聞いてくれようとしている。


何も言ってないのに、こうやって連れ出してくれてありがとう。



「何があったのかは知らないけど、咲彩のことは放っておけないから」


「……ありがと」


ホントに。


空き教室の窓からは、暖かい日差しが入ってポカポカして気持ち良かった。