早く俺を、好きになれ。



「おはよう、市口さん」


振り返るとそこにいたのは今一番会いたくない人だった。


「織田さん……!おは、よう」



今まで一度も朝に会うことはなかったのに、まさかこのタイミングで鉢合わせるなんて。


……ツイてない。


悪い人じゃなくて、むしろめちゃくちゃ良い人なのに。


そんな風に思っちゃう私はホントに性格が悪いよね。


織田さんの前では劣等感が浮き彫りになって、自分で自分が嫌になる。



「いつもは会わないのに、朝会うのって珍しいね」



私の胸の内なんて知らない織田さんが無邪気に話しかけて来る。


スクールバッグの他に、サブバッグとして持っているピンク色の手提げカバンが女の子らしくて可愛かった。


何気にハート型のピン留めまで可愛くて、スッピンな私とは大違い。


今日は……今日だけはオシャレして来なきゃダメだったじゃん。


張り合うつもりはないけど、私にだってプライドがある。



「あ、うん。今日は寝坊しちゃって、いつもより遅く来たから」



「そうなんだ。いつもはもっと早いんだね。あ、末永さんもおはよう」



私の隣にいる蘭にまで挨拶を交わして、織田さんはニッコリ笑った。