「ん?何が?」
目を瞬かせて、武富君の顔をじっと見つめる。
「え?いや、あの……っ」
すると、武富君は頬を赤く染めて気まずそうに下を向いた。
爽やかなイメージからは想像がつかないほど、うろたえている様子。
いったい、どうしちゃったんだろう?
「実はさーー」
しばらくして、武富君は静かに話し出した。
その顔はなぜか、赤い。
「俺の彼女……調理部なんだ。で、昨日面白い子が入ったって言ってて。市口さんのことだったのかって思って」
「え……?」
彼、女……?
胸にズキンと衝撃が走った。
うそ、でしょ?
ヒリヒリして苦しくて、途端に息が吸えなくなる。
「あいつ、新しいクラスであんまりうまく行ってなくてさ。けど、昨日は楽しそうに笑ってて。市口さんのおかげだと思う。良かったら、これからも仲良くしてやって?」
彼女って……。
ホントなの……?
調理部にいるなんて。
……誰?
もしかしてーー。
「彼女って……織田さん?」
声が裏返った。
喉がカラカラに乾いて、照れたように笑う武富君を直視出来ない。



