いや、そんなはずはない。
言ってないんだし。
「なにそんなにビックリしてるの?まさか、ホントに好きな人がいて上手になりたくて入ったとか?」
「ええっ!?ち、ちちち違うよっ……!」
叶ちゃん……あなた、エスパーか何かですか?
内心かなり焦ったけど、どこで誰が聞いているかわからない教室の中でそんな話は出来ない。
叶ちゃんに言いたくないわけじゃなくて、言い当てられて恥ずかしいって気持ちが大きかった。
「怪しい。ホントは当たってるんでしょ?好きな人がいるんじゃないの?」
「……っ」
うっ。
言葉に詰まる。
私って、ウソつけないタイプかも。
「そっかそっか。咲彩に好きな人がねー」
叶ちゃんは黙り込んだ私を見てクスッと笑った。
そして、好きな人がいるってバレちゃいましたよ。
ウソつけなかったよー。