早く俺を、好きになれ。



こんなことでスネるなんて、ホントに子どもみたいだよ。



「もー、ごめんって!スネないでよ〜!」



早歩きする虎ちゃんの腕を掴んでヘラッと笑う。


ブレザー越しに触れた腕が一瞬だけピクッと揺れた。



「お菓子あげるから機嫌直してよ、ね?」



「…………」



「ほら!クッキー好きなんでしょ?もう一袋あげるから」



黙ったまま立ち止まって私を見下ろす虎ちゃんにクッキーを差し出して、ニッコリ微笑む。


月明かりの下、虎ちゃんはプイと顔をそらして私に背を向ける。


そして、静かに呟いた。



「……バーカ」



ムッ。


でもガマンガマン。



「仕方ないから、これで手を打ってやるよ」


「ホント?よかったぁ」



虎ちゃんはクッキーを受け取ると、すぐにまたそれを食べ始めた。



「やっぱうまっ!」



単純だけど、虎ちゃんの機嫌はこれで元通り。


ふっ、ちょろいもんだよ。



「でしょ?さすが私って感じ?」



えっへんと鼻をすすって得意気に言う。


美味しいって言ってもらえて照れくさかった。


でも嬉しい。



「また作ってくれるんだろ?」



「えー、高いよ?」



「金取んのかよ」



「当然じゃん」


「薄情だなぁ、咲彩は」


「そんなことないよ、優しいでしょ」


「自分で優しいとか言うなっつーの」


「いいじゃん、ホントのことなんだしー!」



ふざけ合っていると、あっという間に家の前に着いた。