早く俺を、好きになれ。



「私が男だとでも言いたいの?そりゃちょっとはガサツなところはあるけどさ」


「咲彩はマジでバカだよな」


エナメルのバッグを肩に掛けて歩く虎ちゃんの横顔は、やっぱりまだ不機嫌そう。


私が笑ったから気を悪くしたのかも。



「バカって、虎ちゃんにだけは言われたくないですー!」



プクッと頬を膨らませ、同じように唇を突き出した。


ほんの少しだけど、成績は私の方が良いんだからね。



「こんなバカはもう知らねー。じゃあな」



「えー!ちょっと待ってよ」


なにそれ。


なんかスネちゃったんですけど。


「虎ちゃん、待ってってばー!」


「知らね。バーカ」



子どもみたいにベーッと舌を出した虎ちゃんは、歩くペースを速めてどんどん進んで行く。



「もう」



あーあ。


完璧にスネちゃった。



小走りで近寄って隣に並んだけど、虎ちゃんは前を向いたままこっちを見てくれない。